基礎情報処理演習(地球工学科1回生T2クラス)
文書処理システム LaTeX の利用 その1(教科書8章)
今日の目標
- LaTeXによる文書作成の手順を理解する。
- LaTeXを使って簡単な整形された文書を作成する。
- 簡単な数式を記述する。
LaTeXとは
- LaTeX は テキストベースの組版処理システムです。
- 数式の処理にすぐれ、非常に美しい出力をします。
- 読み方:LaTeXは「ラテフ」や「ラテック」とよんでいる人が多いです。
- 定型の文書や長大な文書(論文や報告書、書籍など)を作成するのに便利です。
- 文章の体裁にとらわれず論理的な構成の文書を作ることができます。
- 元となるソーステキストは、
プレーンテキストなので編集するときにコンピュータのOSや機種に依存しません。
また、出力(画面、印刷)もプリンタに依存しない。
(同じく文書の清書を目的とするものには、ワープロがあります。
それらはコンピュータの特定のOSや機種でしか使えなかったりします。)
- 科学論文の執筆に非常によく使われています。
(LaTeXを作った人はコンピュータ数学の大家で、数式を印刷することを目的と
してLaTeXを作りました。)
- 高機能にもかかわらず、フリー(無料)のソフトです。
国内外のいろいろな人たちが改良や便利なツールを開発しています。
(ここで学ぶ LaTeX は正式には pLaTeX2εと言います。)
LaTeXによる文書作成の基本的な流れ
- エディタ(Emacsなど)を使ってソーステキスト(sample.tex)を編集する。
- LaTeXのコマンドで出力ファイルであるdviファイル(sample.dvi)を作成する。(GNOME端末で行う。)(「コンパイルする」とか「TeXをかける」などといいます。)ここで、ソーステキストに間違いがあれば、コンパイル時に画面にエラーが表示され、dviファイルは作成されません。その場合は(1)にもどって、ソーステキストの間違った箇所を訂正し、コンパイルをやり直す。
- dviファイルを画面に表示し確認する。ここで、期待した文書になっていなければ、ソーステキストを訂正する。
- dviファイルをポストスクリプトファイル(sample.ps)に変換する。(GNOME端末で行う。)
- ポストスクリプトファイルを印刷する。

今日の課題
教科書 8.3 を参照すること。ただし、教科書記載の例文は入力しなくてよい。
- ソーステキストの編集(Emacsを使う)
-bash- 3.00$ emacs kadai0517.tex &
ファイル名は好きにつけてよいが、ファイル拡張子は必ず "tex" にすること。
入力が終わったらファイルを保存する。
氏名と学籍番号は自分のものに変えること。その他内容は適宜変更しても
よい。なお、文書の左端の数字は説明のためにつけた行番号なので入力しないこと。
入力する文書
説明
LaTeX (TeX) はマークアップ言語の一種で、命令はすべて
\ (バックスラッシュ)で始まる。
このキーボードでは右手前の\ および右奥の¥ が使える。
- 行1: LaTeXの文書は最初は必ず \documentclass という文で始まる。
出力する用紙サイズとして「a4j」、
文書スタイルとして「jarticle」(短い論文用)を使用する。
- 行2: LaTeXでは空白行は、改段落などの意味を持つので、
見やすいレイアウトのための空白はコメント行
(「%」で始める。)で書く。
- 行3: 「\title」はタイトルを指定するコマンド。
- 行4: 「\author」は著者を指定するコマンド。
- 行5: 「\date」は日付を指定するコマンド。
「\today」を入れると作成した日付が自動的に挿入される。
「\date」そのものがないときも同様に作成した日付が自動的に挿入される。
- 行7〜14: 本文全体を \begin{document} と \end{document} とで囲む。
- 行8: タイトルを生成するコマンド。
- 行10〜13: 改行が入っていても1つの段落になる。
段落を変えたい場合には1行空ける。
説明と文書、出力結果とをよく照らし合わせて、どのように記述すればどのような出力となるかをよく理解しながら編集するように。詳しい説明は教科書を参照すること。
- Gnome端末上で platex-utf8 コマンドを入力してソーステキストをコンパイルし、処理済みテキスト(dviファイル)を作成する。(教科書8.6参照)
-bash- 3.00$ platex-utf8 kadai0517.tex
エラーがあるときは、 ? と聞いてくる。 "h"の後Enterキーを押す (エラー原因についてアドバイスを求める)か、
"x"の後Enterキーを押して (強制終了)して、元に戻る。
(教科書8.6参照)
コンパイル不成功(どこかエラーがある)なら、 1 に戻ってやり直し。
なお、コンパイルすると種々のファイル (kadai0517.aux,kadai0517.dvi, kadai0517.log)
が自動生成される。(Gnome端末で"ls"コマンドで確認してみよう。)
うまくいかない君へ
コンパイルしてエラーが出る場合、以下を参考に注意深くチェックすること。
- エラー表示の見方は教科書の8.3.3をよく読むこと。
- LaTeXのコマンド("\"に続く文字、カッコ、
空白なども含む)は、
半角文字で大文字小文字も正確に
入力する。
(文中の"\LaTeX"もtexのコマンドなのです。
よくみると普通の文字と違いますね。)
- 文中にコマンドがある場合、
コマンドの次に区切りを表す半角の空白
が必要。
(コマンド(半角)と日本語(全角)が混在する文章では要注意!!)
- カッコの開く"(, {, ["と閉じる"), }, ]"
は対応しているか?
- \[と\]、\begin{...}と\end{...}が対応しているか?
- Gnome端末から xdvi を起動し、処理済みテキストを表示して、その出力を確認する。(教科書8.7参照)
-bash- 3.00$ xdvi kadai0517.dvi &
不満足なら、1 に戻って Emacs でテキストを修正し、保存し、コンパイルを行う。
dviファイルが更新されると次にマウスを xdvi に持っていった時に表示が自動的に更新されるので、xdviは一つ起動しておくだけでよい。
出力結果例
今日の提出課題
以下に与えたテキストを Emacs で入力し、 LaTeX を使って処理し、プリンタに出力したものを提出しなさい。
説明
- 行10: 節を作るコマンド。節番号は自動的につけられる。
- 行18,24: 文中に数式を入れる時は$ $で囲む。
- 行24,26,31: ^ 上付き、_ 下付きの添字を表す。
- 行19〜21, 25〜27, 30〜32:1行に数式を書く場合、\[ と \] とで囲む。
\begin{equation}と\end{equation}とで囲んでも同じ。
印刷方法
xdviで文書が出来たのを確認したら、dvipsでdviファイルを
PS(ポストスクリプト)ファイルに変化する(教科書8.3.5参照)。
そのPSファイルをlprでプリンタに印刷する。(教科書4.5参照)
-bash- 3.00$ dvips kadai0517.dvi
-bash- 3.00$ lpr kadai0517.ps
なお、PSファイルはggvで見ることができる。
-bash- 3.00$ ggv kadai0517.ps
最終的な文書のプリンタ出力を提出したことで出席とします。エラーの修正がうまくいかなくて時間内にできなかった者は、ソーステキストを印刷して提出すること。また、次週の演習時間までに完成版を必ず作って提出するように。
おまけ
課題が終わってしまって時間に余裕がある人はトライしよう(提出すると課題点にボーナスがつきます)。提出する際は氏名、学生番号を書いて課題とは別紙にして下さい。
次週までに
- 教科書8章を復習して下さい。教科書8.4の文書例を入力してコンパイルしてみて下さい。
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